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2006年1月21日 (土)

ソニーの人事制度は「大人のつきあい」

※土日は内容を考える余裕がないので、気が向いたらこれまで社外には公開していない昔の「つぶやき」を転載していこうと思います。なお、書かれている内容は当時のもので、今は状況が変わってしまっている場合もあります。

2000/11/13のつぶやき
ソニーの人事制度は「大人のつきあい」

今日はベンチマーキングとしてソニーの人事制度の例と言うのをまとめた。

ソニーと言うと押しも押されぬ世界的大企業、弊社と比較になるかどうかは微妙な所だが、一般的に組織のフットワークは「大きく」なるほど鈍く硬直化するものと考えると、小さい企業よりも大きい企業を参考にした方が良い筈である。妙な理屈だが・・・。

とは言うものの、ソニーの人事制度の柔軟性は群を抜いていると言っていい。

KMにおいて同社を特徴付ける人事制度の柱は「社内公募制度」と「マイキャリア・サーチ」と呼ばれる制度である。

社内公募制度
文字通り社内部署が社員を「公募」する制度。各部門が欲しい人材をイントラネット上で公募し、社員はそれぞれ応募・面接・(マッチングすれば)異動となる。
応募の段階では応募者の担当マネージャーには知らされず、決定後に「イエローペーパー」と呼ばれる通知が届く。すでに20年以上の歴史を持ち(イントラネット化は最近)、年間500名程が応募、200~300名が実際に異動している。

マイキャリア・サーチ
社内公募の全く逆の制度で、社員の側が自らのキャリアと希望をネット上に公開し、役職者が見て希望に添えば異動できる制度。こちらは導入されたばかりで、実績はこの1年間で100人程が登録し、内10人が実際に異動した程度。

その他色々あるのだが、基本的な姿勢は「本人のやりたい事をやらせる文化作り」にあると言う。

しかし、これに対し単純に「自由に出来ていいな」と言うのは浅はかだ。また「各人が勝手にやりたい事をやりだしたらどうするんだ」と言うのも読みが足りない。いくらなんでもそんな甘い会社があそこまで大きくなれる訳がない。

考えてもみよう。いくらソニーで「やりたい事が」出来ると言ってもまさか食品の開発を明日からやらせてくれる訳がない。新製品企画室に行きたくても、はいそうですかとすんなり異動させてくれる訳ではない。やりたい事には会社に認められる「(ソニーとしての)方向性」や「説得力」が必要だし、社内公募で異動するにも公募部署の面接と言う「試験」をくぐり抜けなくてはならない。(実際社内公募の半分は不合格だ。)

ソニーのシステムが秀逸なのは、会社の方向性は基本として押さえつつも、社員のモチベーションを業務に吸い上げて活用している点だ。あるプロジェクトが立ち上がる際の出発点が1社員の「やりたい事」にあった場合、そのプロジェクトに取り組む会社としての「動機」や社員の「やる気」への配慮を会社側は行う必要がない。そこは「やる気のある」社員が考えることだ。会社はプロジェクトの妥当性を評価し、認めるだけ。後はその社員が自ら動いてくれる事になる。

とまぁこれは理想論だが、ここがポイントではないかと思う。本音は窺い知れないが、ソニーのスタンスは「本人のやりたい事をやらせる」と言いつつも「会社は会社のため」にこの制度を用意しているように見える。別に社員のために自由な人事制度を設けた訳ではなく、会社のために社員のやる気を「利用する」体制を整えただけなのだ。

一方で個人もそんな会社の制度を利用して「自分の」キャリアのため、やりたいことのために努力していると言う事になる。
そんな「大人のつきあい」がソニーの人事制度には見え隠れしている。

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