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2006年4月28日 (金)

ベストプラクティスの登録

このブログを読んだ方から思わぬコンタクトがあり、そのやりとりの中で改めて考えたことがある。
一口に「情報共有」「知識共有」といっても、その方向性には大きく二つのベクトルがあるということだ。

手段としての「共有」に違いはないのだが、その目的によって大きく意識づけも運用も変わってくる。

一つは知識を整理するための共有。
一つは知識を生み出すための共有。

この両者は当たり前といえば当たり前だが、根本の部分で同時には両立しない。

前者は知識を整理し、ベストプラクティスを共有するためのものだ。整理、というベクトルは不要なモノをそぎ落とし、絞り込んでいくことで成り立っている。
一方、後者のように新しい知識を生み出したい場合、必要なのはむしろ多くの可能性による試行錯誤だ。そこでは、一見不要なものも含めて数多くのアイデアが提供されることが前提になる。

一般的なやり方としては、まず後者の形で数多くの知識を収集し、そこから前者のように絞り込むことで最終的に「価値のある知識」を生み出すという経緯をたどる。会議などではそういったやり方は当たり前だろう。

ところが、いわゆる「システム」ではそういったデザインがされているものは少ないような気がする。ベストプラクティスを共有するために、多くの知識をDBに登録してもらうという目的は、一見すると会議でのやり方と同じように見えるのだが、ステップとして切り分けられていないケースが多いのだ。

例えば「ベストプラクティスを登録しよう」という呼びかけなどは、根本的に勘違いがあるといっていいだろう。
ベストプラクティスは「選ぶ」もしくは「選ばれる」もので、意識して登録されるものではない。そもそもベストプラクティスが成り立つためには、ベストでないプラクティスとの比較が必要なのだ。登録されるべきは「プラクティス」であって、その登録とそこからの「ベスト」の選択は別のステップとして行わなければならない。

こういった誤解が発生するのは、何らかの形で登録公開される情報は「形の整った価値あるモノであるべき」という無意識の思い込みがあるからだろう。特に運用側はこういった思い込みを意識的に排除していく必要がある気がする。

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