ピラミッド型組織についての考察その2
その1より続く
「ピラミッド型の組織は、プロイセンのモルトケが考案した組織形態」なのだそうだ。
この話は当時の自分にかなりの衝撃だった。というのは、それまでの自分はピラミッド型の組織は組織が大きくなっていく上で自然と形作られてしまうものと考えていたからだ。
自然とできてしまうものと、人為的に作られたもの。この両者の差は大きくないだろうか。
モルトケが考えていたのは、司令部(参謀本部)に情報を集中させ、そこで大局を見通して作戦を立案し、その指示に従って全体が行動する組織(軍隊)だった。彼はこの組織を作るのにかなりの尽力をしている。つまり、ピラミッド型組織は決して自然にできるものではなく、何らかの意思と努力があって初めて成り立つ組織形態なのだ。
この頃から自分自身の考えは、いわゆる21世紀型とされたネットワーク型への傾倒から、「別にピラミッド型でもよいのではないか」という考えに変化していくのだが、しかし一方で忘れてはいけないことがある。
人為的で決して自然ではないピラミッド型組織は、自然にできたヒエラルキー型組織とは一線を画すべきだ、ということだ。当時は思いつかなかったが、今から考えるとやはりモルトケ以前の軍隊にそういった階層がなかったとは考えにくい。
モルトケが考えたのは、自然と作られてしまって機能しないヒエラルキー型組織を動かしていくための、別の指示系統としてのピラミッドではなかっただろうか。
ヒエラルキーの基本は、構成員同士の「上下」関係によって発生する階層ピラミッドだ。対してモルトケの考案したピラミッドは、役割分担とネットワーク構造によるピラミッドで、構成員同士の相対的な上下はあまり関係がない。実は両者は意識的に分けて考える必要があるのではないか、という気がしている。
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