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2006年11月17日 (金)

民主主義と自律の精神

昨日の阿倍内閣メールマガジン「こんにちは 阿倍晋三です」にちょっと気になるところがあった。

 戦後教育は、機会均等という理念のもとで国民の教育水準を向上させ、戦後の経済発展を支えてきました。また、個人の権利や自由、民主主義や平和主義といった理念についての教育も行われてきました。

 しかし、他方で、道徳や倫理観、そして、自律の精神といったものについての教育はおろそかになっていた点はやはり否めません。

教育基本法改革に関する話だったのだが、気になったのは「個人の権利や自由、民主主義や平和主義といった理念」の教育と「道徳や倫理観、そして、自律の精神」の教育は一方に力を入れれば一方はおろそかになるような関係にあるだろうか、ということだ。

むろんこれは言いがかりに近いツッコミで、阿倍総理はそんなことは書いてはいない。ただ、特に「個人の自由」「民主主義」といった概念は、本来道徳や倫理観、自律といった精神を内包して初めて意味があるものなので、一方はできていたけど一方はできなかったというようなものではなく、そもそもどちらもできていなかったのではないか、という気がしてならないのだ。
(そういった意味では、この阿倍総理の話にうんうんと頷いてしまう人というのは、本当に個人の自由や民主主義の概念を理解しているか、という気になる。)

そんなことを思い出してしまったのは、以前ある人とやりとりをしていて「民主主義は多数決が原則なのだから大勢の意見に従うのは当然」みたいな話が出てきてびっくりたことがあったからだ。

民主主義は本来多数決が原則なのではなく、「自律的な」個人一人ひとりによる話し合いによる解決が原則であるはずだ。現実にはそれでは解決しないから、手段としての多数決があるにすぎない。多数決で決めることに納得するまで、議論を尽くすことが「原則」であり、多数決は結果にすぎない。

そんな話が出てきてしまうような「民主主義の教育」しかしてこなかったから、結局道徳や倫理観、自律といった精神が育たなかったではないだろうか。多数決に従うだけなら、そういった精神は必要ないからだ。解決を求めて議論を尽くそうとするからこそ、そういった精神が自ずと必要になる。

実はおろそかにされていたのは、個人の自由や民主主義に関する教育ではないか、という気がしてならない。両者を別々に論じるのは、どうもいやな感じがするのだがどうなのだろう。

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コメント

いつも面白い記事をありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。個人の権利と義務の関係を戦後教育は十分に教えていないと私も思います。権利があるから責任が伴う。そこに、権利を行使する倫理があるということが戦後の日本人には十分に浸透していないと思います。

今回の記事、非常におもしろいと思ったのは、ロジカルシンキングのことでした。荒っぽい言い方ですが、安部氏のロジックは対比です。戦後・戦前の比較です。一方、ProjectKさんのロジックは定義です。提示された2つは対立概念ではないという主張です。

こうした議論がもっと日本に出てくれることを望みます。

投稿: おうちゃん | 2006年11月19日 (日) 16時44分

コメントありがとうございます。ちょっとエラそうなことを書いてしまったかなと心配していました。

実はもう一つ気になっているのは「自律の精神」という奴で、これはそもそも他人が論じることができるのだろうか、という疑問があります。

自律というのが、自ら律すること(=自らのルールで行動すること)だとすると、他人からどう見えようが、本人の行動は本人のルールで決まっているものだと思うのです。

エントリに書いたように、私は「自律した個人」というのはそれぞれ「意見が異なる」個人だと考えているのですが、世の論調の多くは「(世間の)ルールに添えない個人」のような捉え方があるように感じています。

投稿: ProjectK | 2006年11月20日 (月) 08時18分

非正規雇用の論議より“最低賃金”の論議が格差社会を是正する

◆問題は「賃金格差」
非正規雇用対策に注目が集まってしまい、“格差”の論議の影が薄くなっています。しかし、一番重要な問題は“賃金格差”なのです。同じように仕事をして、賃金に格差があること、これ自体が最大の問題なのです。わが国ではこれまでの終身雇用制と年功序列が、「同一作業、同一賃金」の問題を複雑にしました。この道は、先が長く険しい道のりです。

◆今こそ「最低賃金見直し」論議を

 しかし、正規社員も非正規社員も同様に仕事をして格差が是正されて行けば、雇用の流動化はスムーズに行え、そして日本の新しい雇用形態となっていくものと考えます。そこで、この不況時にこそ「最低賃金の見直し」の論議と実施をすべきです。パートタイムやアルバイトの多い業界からの反発が予想されますが、それこそ雇用対策の助成金を活用し、3年~5年をかけて補助金額を逓減していけばソフトランディングも可能です。そして、これらが曳いては、わが国の内需拡大を早める最適な方策と考えます。
詳細は下記をご覧下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年6月 8日 (月) 08時03分

厚生労働省 与党、野党の「派遣法改正案」に失望

◆誤りは「改正スタンス」から
「労働者派遣法改正案」を比較し、与党案も野党案にも失望落胆しました。誰の立場に立ち、一体何をしたいのか意図が理解できません。企業の為?派遣社員の為?ただ困惑するばかりです。

根底になければならないのは、労働者と企業の競争力を共に成り立たせるための政策の筈ではありませんか。最も重要なのは、労働者が安定して雇用される仕組みづくりではないのでしょうか。「派遣の正否問題」ではなく、「雇用体系の問題」を重要視し、法改正を検討すべきです。わが国が世界競争力を有する社会であるために、「雇用の安定」をどうすべきかを考えれば自ずと結論が出る筈です。

●「製造派遣」の原則禁止

製造派遣の禁止が、本当に労働者のためになるのでしょうか。専門性の低い業務は、3ヶ月~6ヶ月の「紹介予定派遣」を認めるべきです。専門性が低い業務は正社員になるチャンスは少ないため、逆に、紹介予定派遣でチャンスを拡大すべきです。
詳細は下記のブログをご参照下さい
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部ブログ | 2009年6月24日 (水) 12時16分

政権交代 民主党は派遣労働者の「雇用安定化の道標」を示せ

◆派遣法改正論議が焦点に

労働者派遣法改正論議と同時に、派遣社員の雇用安定化の道標(みちしるべ)が必要です。派遣社員が減少したとは言うものの、約350万人の派遣労働者がいることは現実です。この現実を無視して、派遣法改正はあり得ません。

政策実施に財源論議が必要であるように、派遣法改正には雇用確保の道標が必要です。厚生労働省及び自由民主党は派遣法改正を実施すると謳っただけで、派遣先や派遣元に大きな動揺が走り、現在の雇用状態を作り出しました。“人混みに石を投げ入れた後は知らぬ存ぜぬ”が雇用の不安定化を更に加速したのです。「雇用安定化の道標」を無視して法案成立に走れば、更に約300万人の失業問題も社会問題化します。

◆民主党は経済界との協力による“産業の空洞化”を食い止めろ

この課題については、下記のブログ記事をご参照ください。

★当ブログ記事(08/12/9日付):「福祉雇用体制の構築を急げ」。


詳細は下記のブログをご確認下さい
◆“人事総務部ブログ”
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部 | 2009年9月 4日 (金) 21時55分

労働者派遣法改正に伴い派遣業界に教育機能を

◆人材派遣に“教育型派遣制度”の導入を
 派遣法改正で“人材ビジネス”は大きく縮小していきます。産業の縮小は、日本の経済発展には大きなダメージを与えます。そこで、今の人材ビジネス企業と今の非正規労働者に対して、仕事と職業訓練の機能をプラスしてはどうでしょうか。 そこで、実践に限りなく近い教育を、今の人材ビジネス企業に委託していくという方策です。そして、新しい「就業者支援制度」を確立して活用することが肝要と考えます。
 日本国内にとどまらず、今の企業は“即戦力”を望んでいます。成長著しい中国でも学卒者の就職が無い、これが時代なのです。中国では学卒者が1年間無給で仕事をし、キャリアを身に付けてから社員になる人も数多くいるのです。わが国内においては、非正規労働者を単に“労働力”としてではなく、“戦力化”するための教育を実施し、国内の生産性向上に邁進していくときではないでしょうか。それがひいては日本の将来発展に繋がっていくものと考えます。
関連記事は下記をご参照下さい
◆人事総務部ブログ http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/ 

投稿: 人事総務部 | 2009年11月15日 (日) 10時57分

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