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2007年3月29日 (木)

規制緩和が生んだ惨事

昨日の毎日新聞「記者の目」はこんな記事だった。

吹田のスキーツアーバス事故 安全犠牲の「激安」必要か 規制緩和が生んだ惨事
(毎日新聞3/28)

先月18日に起きたスキーツアーバス事故の取材を通じて記者が感じたことが書かれているのだが、実はふと気になったことがあった。

この惨事は、本当に規制緩和が原因で生まれたものなのだろうか。

規制緩和の結果、過剰なまでの価格競争が進み、結果安全性が犠牲になり、事故につながった、というロジックは分かる。が、だから規制緩和が原因というのはちょっと短絡的な気がする。

規制緩和は本来「適正な競争」を促すためのものだろう。規制により不適正な競争状態(競争がない状態)にあると、結果として消費者が余計な負担をすることになる。なぜなら業者間の競争や新規業者参入がないと、選択の自由が確保されないからだ。

適正な競争というのは、消費者による適切な選択がベースになっている。規制緩和もその考えに基づいている。

問題は、規制緩和ではなく、「過剰な競争」なのではないか。記事には「「安値信奉」を見つめ直す時期が来ていると思う。」とあるが、実はここがもっともつっこむべき所の気がする。そこに不満がある。

なぜ過剰な競争が生まれるのか、その点を分析し是正していかなければ意味がないはずだ。「過剰な競争が生まれるのは当たり前」という状態では、そもそも規制緩和の趣旨が自分たちの社会にはなじまないということになるからだ。

ようするに消費者はなぜ「適切な選択」ができないのか、なぜ「過剰な競争」を招くような選択しかできないのか、そこをつっこんでいかない限り、結局こういった惨事は繰り返されるのではないか、という気がする。

国の責任をつっこむのは簡単だ。消費者もそれにより国に責任を転嫁でき、安堵できるだろう。しかし、この事故は規制緩和ではなく、「激安」を求めてバスを利用したすべての利用者が背負っている十字架なのだ。

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コメント

いつも興味深く拝読しておりましたが、今回初めてコメントを投稿いたします。


スキーバスは、雪道で車を運転するのに慣れていない人が
スキー場のたどり着く一番簡単な方法だと思います。
学生の頃は、お金もなかったのでとりあえず安く!でした。
ある程度お金に余裕ができても、どこも同じような設定で運行していて、
選択肢がないのです。

利益や効率を考えると、仕方がないことだとは思うのですが
気づいた時にはもう遅くて、選択せざるをえない状況、というのもあるかもしれません

いろんなところで、ゆとりというか、バッファというか、
そういうものを切り詰めるようになったのは、いつ頃からなのでしょうか

投稿: あぷり | 2007年3月30日 (金) 16時46分

あぷりさん コメントありがとうございます。
私もスキーバスは利用したことがあります。最近は車ばかりですが・・・。

安いということが売りのサービスもあって良いと思うのですが、適切な価格かどうかの見極めが難しいということでしょうね。
確かに現状ではもうどうしようもないところまで来てしまっているのかもしれません。

私の会社の創業者の残した言葉に「10円のものを9円でも11円でもなく10円で売る」という趣旨のものがあります。
企業がそういった姿勢を示し、利用者がそういった姿勢を理解するという関係が必要なのだと思います。

投稿: ProjectK | 2007年3月31日 (土) 07時43分

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