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2007年4月27日 (金)

野菜の産地廃棄

昨日のR25に、野菜の産地廃棄についての記事があったのだが、その記述を読んでちょっと考えてしまった。
産地廃棄について、このように説明されていたからだ。

「産地廃棄とは好天で野菜が採れすぎた場合、価格の低下を防ぐため、育った野菜をそのままトラクターなどで踏み潰し、出荷量を調整するという乱暴な施策のこと。」

自分もそのように理解していたのだが、実はこの説明と理解こそが産地廃棄の最大の問題ではないか、という気がした。というのは、先日機会があって実際に生産する農家と仲介する業者の方に話を聞いたのだが、「売れるモノなら売るが、結局売れない(から廃棄せざるを得ない)」という話だったからだ。

「価格の低下を防ぐため」「出荷量を調整する」ための廃棄と、「売れない」からやむなく廃棄するというのでは、イメージがまるで違う。前者はいかにもその施策によって価格のつり上げを図っているように受け取れるが、実態は「どんなに安くしても買ってもらえない」から、かかったコストを少しでも回収するには、廃棄により補助金をもらう以外にない、ということなのだ。

(ちなみになぜトラクターなどで潰すかと言えば、これは補助金をもらった後に出荷をしてしまうとか、農家側の問題で廃棄した野菜にまで補助金を出すわけにはいかないからだろう。あくまでも市場の相場の問題で売れなかった野菜に対し補填をするのが目的なのだから、補助金を出すためのいわば条件が「潰す」ということなのだと思う。)

あえて言ってしまえば、お店が買うのであれば産地も廃棄などしないのである。しかし、お店の方でも売れないモノを仕入れても仕方ない。結局これは記事にもあるのだが「野菜を食べない」消費者の問題を、産地の問題にすり替えているだけということでもある。
(もっとも、日々の野菜の需要が生産量にあわせてそうそう変動する訳がないので、突き詰めれば天候などに左右されやすい農作物の宿命にすぎない、という捉え方もできる。意外と問題は、報道するマスメディアの伝え方にあるのかもしれない。)

ちなみに農産物というのは面白いもので、出来の良さと量が比例する。出来が良いほど大量に収穫でき、結果として需給のバランスから価格が下がる。一方で出来が悪い時は収穫量も少ないので、価格が上がる。品質が良い時ほど安く、品質が悪い時ほど高くなるという、一見すると奇妙な価格変動があるのだ。

もったいない、と思うのは確かだが、ではその野菜が目の前にあったときに「自分が」余計に食べるか、他の人(海外でも良い)に提供するために「自分が」お金を出すか、といわれると首をかしげざるを得ない。国の政策として国のお金でそういった施策をとるということも考えられるが、そのコストは結局税金なのだ。

むろん、上手くビジネスに載せることができれば状況は変わるかもしれない。最近農水省が進めている輸出政策などもその一環だ。ただし、それが進むということは、国際的な市場の影響で野菜の価格も変わってくるということであり、我々の手に届く野菜の価格にも影響してくる、ということはきちんと考えておかなければならないだろう。

余ったときだけもったいないから分けてあげます、なんて理屈は通じるわけがない。

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コメント

外食が続くと旬がわからなくなります・・・

工場で作られた食べ物ではなく
もっと産土のものを食べたいとは思うのですけども。

投稿: あぷり | 2007年4月27日 (金) 11時13分

あぷりさん こんにちは。

確かに、外食では旬を意識することが少ないかもしれません。特に大手チェーン系だと通年で同じメニューを出すことができるかどうかが大きな命題でもありますし・・・。

生産・流通の大規模化低価格化ではなく、小規模化高付加価値化をめざすことで、地域ごと、季節ごとの対応が可能になってくるのかもしれません。

投稿: ProjectK | 2007年4月28日 (土) 09時48分

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受信: 2007年4月28日 (土) 22時09分

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