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2009年3月12日 (木)

NPOやNGOへの寄付を説明する

※今日の内容はCSR日記にも掲載しています。

ここしばらく、社内のマッチングギフトで支援する団体を選定するために、NPO団体の情報を集めて整理しています。多くはホームページを参照しながら進めるのですが、情報の開示度合いに大きな差があって、横並びに比較していく難しさを改めて感じているところです。

このあたりは、企業の情報開示にガイドラインを設けて横並びに比較したいという要望と同じようなものかもしれません。

こういう仕事をしていながら、寄付などにはほとんど関心がないのですが、こうしたNPOへの寄付について、どうやって説明責任を果たしていったらいいのか、といったことには興味があります。社会システムとしての寄付はどのように説明され、各団体は何をもって自団体への寄付を正当化し、ステークホルダーに対して訴えかけていくかという部分です。

そういった意味では、企業とステークホルダーの関係はかなりシンプルです。商品やサービスを提供する相手とそれに対してコストを負担する相手が多く の場合同一だからです。広告モデルによる無料サービスなどは少し違ってきますが、意識上はあまり差がないと考えてよいはずです。

一方、NPOの場合は少し話が違ってきます。NPOへの寄付とその活動の関係は税金と行政サービスに近いと考えることができると思うのですが、ようするに寄付という形でコストを負担するステークホルダーと、それによるサービスを受けるステークホルダーとが、必ずしも同一ではないのです。

この場合、特にコストを負担するステークホルダーに対する説明責任はどのように果たされるべきか、ということが大きな問題になってきます。「良いことだから」というのは、相手の情感に訴えただけで説明とは言えないので、多くの場合その負担根拠は明確ではないというのが実情でしょう。

税金の場合は、徴収段階で説明が行われます。「これは所得に対するものです」「これは消費に対するものです」といった形で、社会的な合意事項として、コストを負担することが義務付けられて成り立っています。これは「みんながルールに基づいて負担するもの」だから成り立つ考え方で、そこに公平性があればおおむね受け入れられます。

一方、寄付の場合はそういった負担段階での説明はできません。一様に負担するものではなく、各自の意思に基づいて行うものだからです。であれば、その負担に対する説明は使途が何で、どのように使われたか、というアウトプットの段階で行われる必要があります。

「良いことに使っている」では、負担段階での説明に過ぎないため、本来は問題があると思うのです。それを寄付する側が無批判に受け入れてしまっては、単なる「寄付をした」という自己満足にしかなりません。その負担によりどういった効果がもたらされるか、ということを具体的に把握した上で、そのサー ビスに対するコストを負担する、というのが本来求められる「賢い寄付者」のあり方でしょう。

そう考えると、CSRで求められる情報開示以上に、NPOにはSRが求められる(NSR?それともOSRでしょうか)ということになります。さらにかかわるステークホルダーには彼らにそういったことを求めていく責任があるということも考えられそうです。

一方で、今回の考察を進めるうち、企業に求められている社会貢献やCSRというのは、行政だけでなく、NPOが担っていたような公共サービスにも及んでおり、これは行政の失敗であると同時にNPOの失敗ということでもあったのではないか・・・そんな気がしてしまいました。

21世紀はNPOの時代と言われていますが、実はそう叫ばれること自体、NPOが担っていた領域が企業に侵食されつつある、ということなのかもしれません。

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