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2009年4月 6日 (月)

CSRが階級社会を生む?

先週4月2日の毎日新聞に、中谷巌氏の寄稿がありました。内容としては日本社会と欧米社会の違いを階級社会という視点で比較したものだったのですが、その中に少し考えさせられた一節があったので、少し長いですが引用します。

日本企業の競争力は「現場力」にあるとしばしば指摘されてきたが、「現場」が強いというのは、日本が平等社会であり、一般従業員の「当事者意識」が高いという事実から生まれている。階級社会的な要素が少ない日本では、現場従業員に上から搾取されているという「被搾取感」が比較的少ない。だから、現場での仕事ぶりは意欲に満ちており、投げやりなところがない。これが「現場力」の源泉にある。(4/2毎日新聞17面)

も ちろん中谷氏は、日本にはまったく階級がない、ということを言っているわけではなく、欧米に比べて(アメリカも以前は奴隷制度がある階級社会で、その名残は今も残っています)その要素が比較的少ない、ということなのですが、そこで考えてしまったのが、欧州発の「CSR」という概念です。

たまたま先週はとあるアンケートの回答期限だったのですが、その中にステークホルダーエンゲージメントに関する質問がありました。経営に生かす形で、下記のステークホルダーとのエンゲージメントを行っているかという内容なのですが、もちろんそこには「従業員」も挙げられています。

欧米で、ステークホルダーエンゲージメントの対象に従業員が挙げられるのは、階級社会の考え方に基づいて従業員と企業とが峻別されているからではないか・・・そんなことをふと考えてしまったのです。

そんなことはない、と言い切れるほど、我々の多くは欧米の会社の統治構造を実感として知っているわけではないはずです。勝手に日本企業に置き換えているだけで、実はまったく別物かもしれません。
(余談ですが、外資系企業のやり方だから欧米流とも限りません。国内と国外でやり方を変えるというのは、日本企業だってやっているはずです。外資系企業のやり方は、「海外におけるその企業のやり方」であって、「自国におけるその企業のやり方」とは違うかもしれないのです。)

そうした「欧米の階級社会」に基づいた考え方を、「CSR」として日本に持ち込むことは、実は日本を欧米のような階級社会にする(それも歴史的背景により自然と社会がそうなったというのはではなく、考え方を輸入する形で人工的に社会をそうする)ということにつながるリスクがあるのではないか・・・そんな恐ろしいことを考えてしまいました。

(これまた余談ですが、欧米のNPOやNGOの多くは、知識層によって構成されていると思うんですよね。階級社会において知識層というのはトップエリートですからね・・・。)

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