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2009年4月30日 (木)

ファイナンスの考え方におけるステークホルダー

CSRを考える上で、ステークホルダーは誰かというのは結構重要な要素だと思うのですが、ステークホルダーという概念自体はCSRの専売特許ではなく、より一般的な概念でしょう。

たとえばファイナンスの考え方においては次のように定義されているようです。

企業が利益を還元しなければならないステークホルダー(利害関係者)は、債権者と政府と株主の三者である。企業に対して最も強い権利を持っているのが債権者で、次が政府、そして株主がいちばん弱い立場にある。利益の還元は権利の強さの順に行われる。
(「MBAファイナンス」グロービス・マネジメント・インスティテュート/ダイヤモンド社)

債権者というのは借金、政府というのは税金、株主は・・・配当、ということになるでしょうが、その強さの順位はさておき、そこには消費者や調達先、従業員といった、CSRではお馴染みのステークホルダーは挙げられていません。

「そういう考え方が問題なのだ」と否定してしまって、CSRが定義するステークホルダーの考え方を押しつけるのは簡単ですが、それでは整合性がとれた主張とは言えません。そんな単純な感情論ではなく、論理的な構築が必要でしょう。これまで主張されてきた考え方もある程度包含できなければ、CSRは単なる絵に描いた餅に終わってしまいます。

おそらくポイントは「利益」の考え方にあるのでしょう。利益の還元において消費者や調達先、従業員が出てこないのは、企業が出す利益との関わり方が債権者や政府、株主とは違っているからです。彼らへの利益配分は実際には企業活動の中で行われているので、その結果生じるのがここで言う「利益」だとすれば、それを配分してしまっては二重取りになってしまいます。

それではお金を出した側は黙っていられないでしょう。企業の活動に資金を投資して得られるリターンを「利益」と定義するのであれば、確かに「利益の還元」において考えなければいけないステークホルダーは、挙げられた三者ということになりそうです。

ただ面倒なのは、消費者への「利益還元セール」のようなうたい文句や、もっと直接的には従業員への「利益配分としてのボーナス」といったものをどう考えるか、でしょう。現実には、これらはすべて株主たちへ配分される「利益」を算出する前に経営上のコストとして積み上げられているものだと思うのですが、言葉としては同じだけに少々やっかいです。

(以前にも書きましたが、AIGの幹部報酬の問題は、この部分が曖昧になっていることが原因のような気もするのです。配分が問題なく行われているうちは曖昧でもよかったのでしょうが、経済状況が厳しくなって奪い合いが激しくなると、こうした部分が問題になってくるということだと思います。)

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