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2009年4月 7日 (火)

温暖化ガスの排出量はどこでカウントされているのか

昨日4月6日付の日経産業新聞に、鉄鋼、製紙、電機、自動車大手企業の2007年度の温暖化ガス排出量が掲載されていました。

掲載されていた企業を上位から並べてみると、

新日本製鉄:6,305万トン
JFEスチール:6,253万トン
住友金属工業:2,367万トン
日本製紙:731万トン
王子製紙:444万トン
大王製紙:379万トン
トヨタ自動車:198万トン
東芝:185万トン
シャープ:137万トン
松下電器産業:109万トン
デンソー:101万トン
日産自動車:82万トン
三菱電機:70万トン
日立製作所49万トン

そうそうたる数値ですが、ちなみに食品企業である自社の排出量を報告書で調べてみたら・・・10万トンにもはるかに及ばない排出量でした。

特に鉄鋼業界の排出量は圧倒的ですが、製紙業界もかなりの排出量で、世界のトヨタもかすんでしまうような差があります。こんな数値を見ると、10万トンにも満たない食品企業で排出量を削減する努力にまい進することにどれだけ意味があるのか・・・などという気にもなってしまいますが、本題はそれではありません。

まず一つ気になったのが、デンソーの101万トンという数値です。多い少ないという話ではなく、デンソーは自動車部品メーカーで、トヨタ自動車に多くの部品を納めているだろうという話なのです。

その場合、その「部品の製造」によって排出された温暖化ガスは、どちらの企業でカウントされるべきなのでしょうか。自動車を作っているトヨタでしょうか。部品を作っているデンソーでしょうか。

さらに突き詰めると、自動車に使われている金属を作るために、鉄鋼業界が排出した温暖化ガスはどうでしょうか。鉄なんていうものは、それ自体で使われることはめったになく、多くは何かに加工されるはずです。

上記のリストはおそらく加工した段階でカウントされているのだと思いますが、であれば、自社以外で加工して最終製品だけを作ることにした方が排出量が(その企業の見かけ上においては)少なくなるということになります。

それでは、それを国に当てはめて考えるとどうでしょうか。

「世界の工場」といわれる中国は、温暖化ガスの排出量も半端ではありませんが、一方で中国は今のところはまだ「世界の消費地」ではありません。今後はそうではなくなるかもしれませんが、現在はまだそこで作られた製品の多くは、日本や欧米など先進諸国に輸出され消費されています。

こうした「消費ベース」で温暖化ガスの排出量を測定し、削減目標を掲げるようにした場合、各国の思惑は結構変わってくるということはないでしょうか。少なくとも、生産を海外に移転して、自国は知識資産で勝負・・・といった戦略は国家レベルでは通用しなくなります。生産ではなく消費を見直すということに転じなければいけないからです。

たとえば、カーボンフットプリントなどの取り組みは、そうした「消費地で排出量をカウント」という考え方をベースに行うようにすれば、中国をはじめとした「生産国」は、競って取り付けるようになるのではないでしょうか。言葉は悪いですが、消費国に「押し付ける」ことができるからです。(逆に言えば今は押し付けられている?)

それとも、今でも各国の排出量はすでに「消費」ベースでカウントされているのでしょうか。そもそも「比較対象となる年」の設定だけでも大きく変わってくる温暖化ガスの排出量削減目標ですが、どこでカウントされるかというのも重要なのではないかという気がします。

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