« 週末の練習 | トップページ | さて何を書こうか »

2009年7月22日 (水)

技術移転か、金融資産化か

あらたにすの新聞案内人コラムで、安井至氏が気候変動防止策について、排出量取引の枠組み以外に途上国に技術移転を進める仕組みが必要だであり、日本はその分野での貢献を積極的に考えるべきだ、という主張をされていました。

先鋭化した「気候変動防止策」めぐる対立
http://allatanys.jp/B001/UGC020001820090720COK00343.html

ラクイラでの主要経済国会議では、気候変動防止策を巡り先進国と途上国の考えが大きく対立したようです。考えるまでもなく、気候変動防止策の検討においては、過去エネルギーを大量に消費して現在の地位を獲得した先進国が、これからそれを追いかけようとする途上国に「エネルギー消費量を抑えろ」と言っているに等しいので、素直に承諾できないのは当然でしょう。

安井氏は、環境貢献意識はやはり国が豊かになってからだろうということも言われています。そのためにも、欧州が主張し進めている排出量取引の枠組みだけでなく、先進国の高度な省エネ技術(この高度というのは、先進国では「普通」であっても、途上国では「高度」という相対的に高度な技術も含まれます)を移転するための仕組み、その技術を提供した国の貢献を評価する仕組みが必要だ、という主張です。

なるほどなぁと思いつつ、なぜそういった議論が欧州から出てこないのだろう、ということがふと気になりました。もちろん、政治的な意図があってのことでしょうが、技術移転という視点だと、欧州が貢献できる枠組みが作れないからではないか、そんな気もします。

考えてみれば、排出量取引の考え方は、金融経済の土俵に気候変動対策を盛り込む考え方です。この分野では、先進国とくに欧米には大きなアドバンテージがあり、途上国が少々ノウハウを積んだぐらいでは太刀打ちできません。気候変動防止に成功したとしても、欧米の支配力は衰えないのです。

一方、技術の移転という枠組みの場合はどうでしょうか。欧米の知識階層には、戦後の日本の躍進や、最近のインドのIT化といった動きを眺めながら、技術というフィールドでは、自分達が追い抜かれてしまうのではないか、という恐れを抱いているのかもしれません。

そう考えると、日本は欧米の後ろに位置してその政策を追随するのではなく、インドのような新興国の先頭に立って別の枠組みを打ち立てることに力を注いだ方が良いのではないでしょうか。

問題は、これは技術力の問題ではなく、概念化やルール化の問題だということ。枠組みを作るのは、それ自体「能力」で、特にアングロサクソンの人たちはこうした能力に秀でているとも言われています。

さてさて、技術に秀でる日本はその能力に勝てるでしょうか。そもそもその分野で期待したい知識階層に日本はダメと欧米に尻尾を振る人が多い時点でかなり難しいような気も・・・。

|

« 週末の練習 | トップページ | さて何を書こうか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22760/45706012

この記事へのトラックバック一覧です: 技術移転か、金融資産化か:

« 週末の練習 | トップページ | さて何を書こうか »