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2009年9月17日 (木)

Diversity & Inclusion

昨日はナレッジマネジメント学会の多様性研究部会に出席してきました。CSRの世界で最近「多様性」といえば、生物多様性の議論が中心になっていますが、こちらは職場における多様性がテーマ。もちろんCSRにおいても大きなテーマの一つです。
ちなみに英語では、生物多様性が「Bio Diversity」であるのに対し、こちらは「Diversity & Inclusion」で、「多様性の受容」といった意味になるようです。

最近の多様性研究部会では、部会のメンバーがそれぞれ自分の考える「多様性」を発表してディスカッションを行っています。昨日も色々なディスカッションがあったのですが、その中でちょっと気になってしまったのが、アメリカ企業で多様性が言われだすきっかけになったという論文です。

Outcomes of Perceived Discrimination among Hispanic Employees:Is Diversity Management a Luxury or Necessity?,by Juan I. Sanchez and Petra Brock Academy of Management.1996

米国におけるヒスパニック勢力の拡大とそれによる市場の変化についての論文らしいのですが、その結果、従来の白人中心の市場構造(それもアメリカの場合日本と違って男性が購買決定権を持っているらしいです)が大きく変化する、ということが企業側の危機感となり、その対応策として、企業内における多様性の受容が叫ばれるようになった・・・というのです。

そこでふと考えてしまったのが、多くの日本企業がまだまだメインターゲットとしている日本市場には、どれだけ多様性があるのだろうか、という話です。細かいニーズが多様化していることは話題になっていますが、基本的な消費者構成が多様化しているとは言いがたいのではないか・・・そんな気がするのです。

多様性の導入、特に女性の登用に関する部分で、よく言われるのが、「市場は女性が中心なのに、企業が男性ばかりでは、そのニーズに対応できる訳がない」という話です。実際、「女性ならではの視点」で作られた商品のヒットなどが事例として挙げられたりします。

ですが、日本の企業は、従来も女性ばかりであった市場に男性がアプローチをしてきていたのです。そこには「市場が多様化する」というインパクトがあったわけではありません。従来と消費者の構成が変わらないのであれば、無理に組織を多様化しなくても、リサーチを細かくすれば十分対応できる、と考えるのも、合理的な判断でしょう。ほんのちょっとの細かいニーズに応えるために、組織構成を見直すのはリスクが高いからです。

アメリカ企業の場合は、まさに未知となる市場の拡大が、その未知を多様性として受容していく必要性を訴えていたわけですが、日本の市場にはそういった未知の構造の変化がないのです。

そう考えると、日本企業で多様性の導入がなかなか進まないのも道理と言えば道理で、実は社会や消費者の構成を変えるということが必要なのではないか・・・などとも思ったのでした。

余談ですが、日本企業で多様性を論じる時に、「多様性の導入によるイノベーション」なんて話が出てくるのも、市場が変わっていないのに、企業側だけが変化する「理由」を無理矢理見つけようとした結果の産物なのではないか、という気がします。みもふたもない話ですが・・・。

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