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2009年12月11日 (金)

CSRレポート評価セミナー

今日はエコプロダクツ2009に来ています。もっとも開場はだいぶん後なので、のんびり朝食中ですが・・・。

昨日はアムネスティ・インターナショナル日本の主催するCSRレポート評価セミナーに行ってきました。毎年参加しているのですが、一応自社のレポートも評価対象(100社をピックアップ)となっているので、どのように評価されているかについては興味があります。

人権NGOのため、評価の中心は人権に関する内容のみ。全体的な評価ではありませんが、逆にこうした一点集中型の方が密度の高い評価になるような気もします。他の評価セミナーでも参考にしてほしいところです。(サプライチェーンとか、環境でも廃棄物だけとか、コミュニケーションだけとか・・・。)

さて、内容については、参考になったというべきか、気になったというべきか・・・。

一番気になったのは評価のスタンスなのですが、冒頭、企業に求められる人権感覚として、

「人権」は規範的に判断するのではなく、常に「侵害される」側の感覚を基準にして意識すること。

と挙げられている一方で、評価のやり方はその「規範的な」判断で行われているような気がするのです。少なくとも、「侵害されている側の感覚」では(企業のレポートの記述が)どのように受けとめられるか、という評価ではなく、第三者的な視点で見られている、と評価される側としては感じてしまったのは確かです。

さて、2009年度レポートの特徴として挙げられていたのは、次の5点。

1.労働関係の記述が少なく、従業員の労働環境が見えてこない。特に非正規社員の待遇の記述が少ない。係争中の裁判や自殺者数、行政指導などが具体的に書かれていない。

2.2008年との比較では、国連グローバルコンパクトの参照やワークライフ・バランスなどの記述は増えたが、社会領域の目標設定や達成度評価、労働基本権に関わる記述が減った。

3.グローバルコンパクトについては参照は増えたが、具体的な活動内容との関連は書かれていない。内部通報制度については整備されてきているが、内部告発者の待遇保障は少ない。

4.ワークライフ・バランスの記述が急上昇し、多様性尊重や差別禁止については高止まりの傾向にあるが、非正規雇用に関する記載は少ない。

5.ILO中核的労働基準の記載はほとんどない。レポート内での「人権」記載回数については、サプライチェーンにおける記述が増えているが、記載回数が0の企業も13ある。
(自社もそうかと思いましたが、確か包括的な規範の中には記述があったような・・・。)

・・・あまり「特徴」的な絞り込みがされていないような気もしますが、個人的には1番目の全体の記載傾向が気になるところです。

講演の中で、「企業の社会的に責任としてネガティブな情報も開示する必要がある」という趣旨の発言があったのですが、担当者としては、「社会的責任」としてではなく「社会的要請」として、情報は開示していくべきではないかと考えており、こうした開示が少ないとされる領域にどれだけ「社会的要請」があるのか、というのが見えていないというのが本音だからです。

そこで冒頭に戻るわけですが、情報の開示がなぜ求められるのか、「社会的責任」という規範的な尺度ではなく、それが「侵害された側」にとって、あるいは「侵害した側」にとって、どのようなポジティブな(改善につながるような)反応につながるのか・・・そういった視点で「何が求められるか」という論拠を示してもらいたかった、ということになるでしょうか。

ネガティブ情報の開示は、多くは懲罰的というか、今後同じことを起こさない戒めとして開示するものだとは思いますが、人権の領域はそれ自体が二次的な侵害につながってしまうデリケートなケースも少なくないのではないか・・・そんな気がしています。

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