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2009年12月28日 (月)

サービスの労働生産性

大木さんが書かれていた「マニュアルもあるだろうけど、人の話はちゃんと聴こうよ」を読んで、ついついコメントでちゃちゃを入れてしまったのですが、その後のコメントなども読みながら、ちょっと考えてしまったことがありました。

それは、このお客様は、自分の思い通りにコーヒーが提供された時に、そのことを評価してプラスアルファの対価を払うだろうか、ということです。お客様、ではなく、我々あるいは日本人でも良いかもしれません。

「いやいや、それは商売に伴う売るためのサービスでしょう、代金に含まれていて当然さ。」

そのように考えてしまうのではないでしょうか。明確に言語化することはなくても、心のどこかにそうした意識があるような気がします。

もしかしたら、その意識が、サービス業やホワイトカラーのような、モノではなくコトで対価を得る労働者の生産性が低いとされる一因なのではないか、そんなことを考えてしまいました。

生産性が低い、というのは、かけたコストに対して、得られるリターンが低いということです。得られるリターンがないのに「無駄なことをする」から、生産性が低いということになります。

それでは、お客様の気持ちを先回りしてサービスを提供することに、明示的なリターンはあるでしょうか?今回のケースでいえば、マニュアルを越えた対応をしても、リターンは同じですから、その分のリターンはありません。リターンがないということは、生産性の面から見たら「無駄なこと」ということになります。

仮に対価として上乗せされていなくても、結果利用する人が増えるのがサービスの効果だ、とすれば、その効果は少なくとも内部的には定量的な評価がされていなければ意味がありません。ですが、多くは「サービスが良い」というプラスの評価ではなく、「サービスが悪い」というマイナスの評価ではないかという気がします。それではリターンが上昇することはないため、やはり生産性は低いままです。

そうした内部の話はさておき、サービスを受ける消費者として考えたときに、自分達がそのサービスをポジティブに評価し、対価を提供するということをしていれば、実は日本の第三次産業の労働生産性が低いと評価されるなんて事はなかったのではないか、そんな気がしてしまいました。

以前マクドナルドで「スマイル0円」というキャンペーンがありましたが、これを「スマイル10円」と評価していくことも、社会の構成員である消費者には(生産者への動機付けも含めて)必要なのではないでしょうか。「スマイル0円、ノースマイル-10円」では、生産性は下がるばかりで、それは結局生産者でもある自分たちの首を絞めることにもつながっていくような気がします。

(もっとも、これを生産者が言ったらいけないわけで、あくまでも消費者側の成熟という形で生まれなければ意味がありません。よくも悪くも日本は生産者主導で社会が形作られていて、それが結局、コストダウンの形でサービスの対価を下げる圧力として働いているのかもしれない、とも思います。)

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コメント

興味深いところですよね。
タクシーに乗ったとして、目的は運んでもらうことなので、それを達成すればいい。そのはずです。
ただ日本では、「愛想が悪い」といったクレームが付く。つまり付加価値を求めたがる民族性である気がします。
「お客さまは神様です」などと暴言を吐くことではないのですが、付加価値を求めることでサービスレベルが上がってきた気がします。
ただし一方で、「サービス」というものが無料である、という誤認識もいかがなものか、とは思っています。本来サービスは、有償であるべきだと考えていますので。

なんか、ここら辺はいろいろと議論ができるところかも知れませんね。
ありがとうございます。

投稿: ooki | 2009年12月29日 (火) 07時10分

> 付加価値を求めたがる民族性である気がします。
> 付加価値を求めることでサービスレベルが上がってきた気がします。

まさにその通りなんですよね。日本の「サービス」は世界でもトップクラスだと(私は世界のサービスの経験はありませんが)思うのです。

ただ、そこで問題になるのが、

> 「サービス」というものが無料である、という誤認識

で、そうすることによって、結局日本社会はサービスの持つ「付加価値」を「付加された」価値ではなく、「売るための」コストとしてしまっているような気がします。
(なんて言えば良いのでしょう。内製化?ようするに外税ではなく内税のようなイメージで、サービスを受ける側でなく、提供する側に負担をさせてしまっているので、提供側としてはいくら口では付加価値といってもコストとして扱わざるを得ない状況に陥ってしまっているのだと思うのです。)

たまたま今日職場で話題になったのですが、日本社会がCO2削減を成し遂げていくためには、案外省エネ技術を磨き上げてさらにモノを消費する(どんなに省エネを追求してもCO2は排出される)のではなく、サービスを評価して対価を支払う(サービスはどんなに高く評価してもCO2の排出にはつながらない)社会へのパラダイムシフトが案外有効なのではないかという気がしました。

・・・「モノづくりニッポン」ではなくなってしまいますが(笑)

投稿: ProjectK | 2009年12月29日 (火) 19時31分

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