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2010年1月21日 (木)

日本型CSR

昨日は経済同友会の主催するシンポジウム&NPO・社会起業見本市「21世紀の社会変革-新しい市民社会の構築に向けて、"Everyone A Changemaker"」に出席し、ソフィアバンクの田坂広志氏の講演を聞いてきました。

「これから資本主義はいかなる進化を遂げるのか」と題した講演では、ヘーゲルの弁証法にある事物の螺旋的発展の話や、マネタリー経済とボランタリー経済の融合したハイブリッド経済といった話が出たのですが、最後に「日本型CSR」の考え方をお話しされました。

1.「起業の社会的責任」とは、社会に悪いことをしないということではなく、社会に良いことをするということであり、社会的責任と社会貢献は本来同義である。

2.「起業の社会貢献」とは、利益の一部を使うことではなく、本業を通じて社会に貢献することである。

3.企業が本業を通じて社会に貢献しているのであれば、社員は「働き甲斐」を感じている。

4.社会に貢献をしていくには、社会の変革に取り組まなければならない。

5.究極の社会貢献は、社会に貢献し、変革する人材を育てることである。

そういった考え方が日本起業には根付いており、それこそが日本型CSRのあり方だ、というお話でした。

こうした話は、企業に身を置く立場であれば、得心できるものですし、同意したくなるものだと思います。恐らく、あの場にいた企業人は同じように感じたのではないでしょうか。

・・・が、そこで思いました。こうした視点は、企業だけが持っていても意味がないのではないか、と。

問題は、企業の内部にいる人間がどのように考えるか以上に、企業の外の人間がどのように思うかではないでしょうか。

NPO、行政、学識者、メディア、市民など、企業を取り巻くステークホルダーは「起業の社会的責任」をどのように捉えているのか。企業が社会に悪いことをしている(だからしないようにしなければいけない)という考え方は、少なくとも企業の中からは生まれにくい発想です。自分達のやっていることを最初から悪いと思っていたら、そもそもやらないものでしょう。

「企業の社会的責任」という価値観を今の形にしてきたのは、企業自身ではなく、企業を取り巻くステークホルダーではないかという気がするのです。

そういった意味では、田坂氏のメッセージは、企業人以上に、社会に対して投げかけられるべきものではないかと思いました。

「企業のみなさん、あなた方は自分達をこのように考えるべきだ」

ではなく、

「ステークホルダーのみなさん、あなた方は企業をこのように捉えるべきだ」

というメッセージである必要があるのではないか、ということです。

そうした考えで社会が企業を捉えれば、自ずと企業の姿はそうなっていくのではないでしょうか。

松下幸之助は、このような言葉を残しているそうです。

「多くの利益が与えられたということは、その利益を用いてさらに社会貢献をせよとの、世の声である」

これは松下幸之助の経営者としての独自の価値観を述べたものなのではなく、当時の社会の当たり前の考え方を言葉にしたもののような気がするのです。
(そうやって言葉にしたということが「神様」と呼ばれるゆえんなのだと思いますが・・・。)

そんなことを考えさせられた講演でした。

その後のパネルディスカッションでも、様々な気付きをいただいたのですが、それは後日にしたいと思います。

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