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2010年11月 2日 (火)

価格維持のために野菜をつぶす

さて、気を取り直して昨日の続きを。twitter上ではつっこみきれないと思ったのでブログで書くのだが・・・農家が「価格維持のために」野菜を潰している、という思い込みが生まれる原因は何なんだろう、とつくづく思う。

http://twitter.com/tsutun/status/29312245248
廃棄される農産物を無くす為にも農家に所得保証すべきです。白菜が高いですね、茨城県は産地の一つですが既に畑では一定量を収穫された後に残された白菜はトラクターで踏まれて肥やしにされます。市場での価格が低くなるのを防ぐ為です。所得を保証すれば低い価格でも売る事が出来ます。

茨城県の方のツイートなので、実際に農家の方に話を伺っての内容だとは思うのだが、少なくとも自分が以前実際に聞いた話とは全く違う。その時に、農家の方や卸の方が口をそろえて言っていたのは「どんなに安くしても売れないから、潰すしかない」というものだった。(そうすれば幾許かの補償金が出るので、放置して腐らせるよりましなのだそうだ。)

低くなるのを防ぐために潰すのではない。低くなりすぎてどうにもならないから潰すのだ。畑に残っているのは、残したものではなく、残ってしまったものなのだ。

農作物の価格は需給で決まっているから、マクロレベルでみれば数を減らせば価格は高くなる。ダイヤモンドの様なものは実際そうやって流通量をコントロールする事で価格を維持していると聞いた事があるから、農作物もそうだと考えてしまうのはわからなくもない。

しかし、ミクロレベルで見た場合はどうだろうか。手塩にかけて育てた作物を、高く売るために潰すような農家があるだろうか。そんな農家の作る作物がおいしいだろうか。

いやいや、そんな感情論ではないよ、というのであれば、その作物を買う流通側の立場に立てばどうだろうか。高く売るために作物を潰すような農家と取り引きをしようと考えるだろうか。そもそも少しでも安く買えるチャンスを見過ごすだろうか。おまけにその気になれば他の農家を選ぶ事もできるのだ。

断っておくが「自分ならしないけど他人はする」というのは単なる偏見にすぎない。もちろん「自分ならする」という人であれば「農家もそうしている」と思うのも無理はない。

ではさらに小売店の事情を考えてみよう。高い作物を少量売る場合と、安く大量に売る場合では、どちらが儲かるだろうか。高い野菜を「足元を見やがって」と思いながらも買ってもらえればまだ良いが、諦めて買ってもらえないリスクも高い。他の物を買い控えられてしまうかもしれないし、お店のイメージもダウンするだろう。

流通量をコントロールして価格を維持するというのは、ブランドイメージや希少価値が高く、競争相手がいない場合には効果があるかもしれない。例えば意地は悪いが「奇跡のリンゴ」であれば、価格を維持するためにあえて潰していてもおかしくない。でも、あの人がそんな人だと考える人は少ないだろう。

なぜ、他の農家や産地と競争をしている普通の農家だと「価格維持のために潰している」思われてしまうのだろうか。

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