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2011年7月22日 (金)

ナレッジはどこで必要とされているのか

ナレッジマネジメントにおいて、ナレッジを吸い上げたい対象というのは誰だろうか。

先週のKM学会の講演会では「顧客のナレッジ」がテーマだった。顧客の声をナレッジとして活かすというのは、方法論はともかく考え方としては「ナレッジ」マネジメントと殊更に言うまでもないほどスタンダードなものだろう。

そのためか、実際にナレッジマネジメントにおいてターゲットと考えられやすいのは、社員であることが多い気がする。昨日の多様性研究部会で話題にあがったのは、その中でもパートやアルバイトのような有期パートタイムの社員だ。
(ちなみにこの「有期(限雇用)パートタイム」というのは「無期(限雇用)フルタイム」のいわゆる正社員と対比する位置づけで定義している。「有期フルタイム」なら契約社員になるが、まぁその辺りの定義自体はどうでもいい。)

パートやアルバイトからどうナレッジを吸い上げるか・・・だが、そこでハタと気づくことがある。「有期限雇用」でかつ「パートタイム」である彼らは、仕事を進めて行く上で当たり前にナレッジを吸い上げる共有する仕組みがすでにできている事が多い。時間軸の中で仕事を分担する彼らは、そもそもそうでなければ仕事が回らないからだ。

問題なのは、「無期限雇用」でかつ「フルタイム」であるために時間軸での分担が発生しづらく、さしてナレッジを共有する有用性が見出せない正社員のナレッジをどう吸い上げるか、にあるのではないだろか。

この問題で難しいのは、当人にとっての必要性が見えにくいだけでなく、むしろ弊害に見えてしまう場合もある点だ。有期限の者にとって、ナレッジを引き継ぐ相手は「次の担当者」だが、無期限の場合は「自分を追い落とす者」という感じになりやすい。そこまでは考えすぎにしても、会社側にとってのメリットばかりで、自分の側のメリットを実感しにくいのは確かだろう。

一方、欧米の企業では日本企業と違って、会社は転々としても職種は変えない(マーケティングならマーケティングといったように)という形態をとる事が多い。この場合、突き詰めれば企業はナレッジを「マネジメント」する必要がない。それは専門職種として雇用された社員の側が自らやるべき事で、会社はそれを自ら行う者を選んで雇用するだけですむからだ。

もちろんさらなるプラスアルファを求めて何らかのアプローチを行う場合もあるだろうが、基本的にはその社員のナレッジが必要なうちは雇用し続け、不要となったら解雇するだけで、吸い上げて会社の財産としていくような発想はあまり起こりにくいのではないか、という気がする。

どちらが良いというものでもないが、そう考えると「ナレッジマネジメント」というものが、日本企業の研究の中から生まれてきたものだという理由が分かるような気がする。案外それは「無期限フルタイム」の被雇用者によって構成される組織が、だからこそ必要とした考え方なのかもしれない。

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