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2012年1月19日 (木)

石垣の組織と煉瓦の組織

昨日はナレッジマネジメント学会の多様性部会があった。

現在の議論は雇用形態(働き方)の多様性が組織にどのようなインパクトを与えるかというもの。つらつらと話を聞きながら、ふと思ったのは、日本型の組織(一般で言われる所の)と欧米型の組織の違いは、石垣と煉瓦のような違いで、それが働き方の多様性にむすびついているのではないかという事だ。
(その時に考えたのは「すり合わせ型」と「モジュール型」というたとえだったが。)

煉瓦造り(モジュール型)は、いわば規格品の組み合わせだ。求められるパフォーマンスが先に定義されていて、ある程度固定されている。固定されているが故に、そのパフォーマンスの出し方(働き方)は問われない。特に時間の使い方において、個々の違いが大きな問題にならない。
評価や給与も、煉瓦という規格に対して発生するので、働く側は条件にあわせて選択が可能になる。

一方石垣造り(すり合わせ型)というのは、大小形も様々な石を組み合わせる事によって組織全体のパフォーマンスを追求する。個々の石の役割は、その大きさや形によってバラバラで、(石垣はさておき組織では)場合によっては微妙に形も変えながら、全体の形を作り上げている。
求められるパフォーマンスがバラバラだから、評価は個別に行われるか、あるいはパフォーマンスとは関係ない、年功のような別の軸で行われる。

重要なのは、煉瓦は何処かが抜けても、同じ規格の別の煉瓦を用意できるのに対して、石垣はそうはいかないという事だ。それは特に働き方において、個々の事情ではなく、組織の事情が優先されるという事につながる。石一つの組み替えが組織のパフォーマンスに大きく影響してしまうのだ。

だから石垣型の組織は、長期雇用による人材の固定化が自然と必要とされるようになる。互いの隙間をなくす事が、組織のパフォーマンスアップにつながるからだ。そこでは、働く側の働く都合など考慮されない(原理的には、だが)。

石垣型の組織は、規模が小さい内は、同規模の煉瓦型に対して優位性を持つ。個々人の能力を最大限に発揮できるように組まれた石垣は、組織としても強固なものになる。だが、規模が大きくなってくると、互いのすり合わせのコストがメリットを上回るようになってくる。スケーラビリティにおいて優位性があるのは、煉瓦型の組織だ。石垣型であっても、どこかで煉瓦型に切り替えるか、少なくとも組織の大半を構造転換する必要が出てくる。

実際、日本企業は大組織化する中で、パフォーマンスにおいては煉瓦型への切り替えをある程度行ってきた。典型がものづくりだろう。職人の名人芸に頼る形から、マニュアルや定型化により、そうした個人差をなくす形にシフトをしてきたのだ。

だが、そこで働き方における転換を行ってこなかったのだ・・・多分。
パフォーマンスにおいては煉瓦型にもかかわらず、その評価や組織のあり方は石垣型のままにしてしまった。その矛盾が今問題として噴出しているということではないか。

もちろん、組織のあり方として、コアとなる部分が石垣型なのはそれ自体悪い事ではないかもしれない。しかしそれは取り巻く周辺が煉瓦型にシフトできた場合だろう。組織全体を石垣型で維持するのは、先に書いたようなすり合わせのコストが組織のパフォーマンスを上回ってしまうリスクを抱えている。

組織を縦に分割して石垣型でパフォーマンスを維持できるサイズにとどめるか。
組織を横に分割して石垣型と煉瓦型を内在する組織に組み替えるか。
はたまた組織全体を煉瓦型に構造転換するか。

それぞれに生き残っていく方法はあるが、曖昧に混在させたままでは、緩やかに崩壊への道をたどる事になるのではないか・・・そんな気がする。

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