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2012年3月28日 (水)

「非営利」の定義

もう一つのブログ用のネタかとも思ったが、ちょっと立て込んでいるので・・・(こちらがネタなしともいう)。

今年の日経流通新聞MJのCSR(というか社会貢献)への力の入れ方は半端ない気がするのだが、3月23日付の特集でNPOの定義が紹介されていて、ちょっと目を引かれてしまった。
一般的な説明のあとに、このように続けていたからだ。

ただ、利益は将来の活動のための貯蓄や投資に回さなければならず、株式会社のように配当という形で分配することは法律で禁じられている。


突っ込むかどうかはさておき、これが面白い考え方だと思ったのは、この定義にそえば「将来のための内部留保」が多いと批判されがちな日本企業は、その時点でかなり性格がNPOに近い、ということになるのではないかと思ったからだ。

そしてその一方で、多くの人が考える「NPO」とは、そもそも「利益を得ない」組織として捉えられてしまっているだろう、とも。

これは、海外のNPO/NGOの考え方とはかなり違う。なんでも海外と比較すれば良いというものではないが、極論するとこのようなずれがあることにならないだろうか。

海外でいう所の「利益を配分する」会社=日本には存在しない
海外でいう所の「利益を投資する」NPO=日本でいう会社
海外には存在しない「利益を得ない」概念の組織=日本でいうNPO

会社が日本に存在しない、というのはもちろん言いすぎだが、では「利益の配分」を最大の目的にしているか、と問われて首肯できるだろうか。多くの会社にとって、株主への配当は投資を得るための手段であって、それが目的という事はないのではないか。

出資者へ配当が企業の最大の目的であり、存在意義・・・と考えると、それだけで良いのか、というCSRの思想が生まれてくるのは、わからなくもない。利益の配分を出資者だけでなく社会へも行うのが社会貢献であり、利益を得るために他を犠牲にしてはいけないというのが、労働慣行や環境といった領域への配慮が求められる理由だろう。

一方、「NPO的な」日本の企業の場合はどうだろうか。求められる配慮は一緒だが、利益の「配分」という点ではやや違いが生じるような気もする。そもそも配分を大きな目的に抱えていないからだ。「利益を得る」と言った時に、それを「財産として自分の内部に蓄積する」ものではなく「外部に再配分する」ものだと考える人はどれだけいるだろう。しかし、株式会社でいう利益とは突き詰めればそういう事で、財産でもなんでもないのだ。

とはいえ、必ずしもそれが問題というわけでもない。むしろ社会における位置づけとしては良好という捉え方もできる。問題となるのは、その定義に押し出される形で、NPOが「利益を得ない」組織として認知されてしまっている点だ。今後企業がCSRを推進する事で、NPO的な性格を強めるほど、反動としてさらにNPOが追いやられてしまうといったリスクも考えられる。

また、逆の側面では、では「配分」を担うプレイヤーは誰か、という問題もある。公(官)が担っている側面もあるが、本来それを私の側面から補完していたのが民間企業だと考えれば、そうした機能がまったく失われてしまうのは、それはそれで好ましくない。株式投資は、本来民間における富の再配分機能を担うのだが、そうした機能の弱さは従来から指摘されている通りだ。

そういった意味では、日本で必要なのは「企業の企業としての機能の強化」になったりするのかもしれない。まずは「利益」「営利」の再定義から始める事になるだろうか。

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