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2013年3月 8日 (金)

海外事例は日本の競争力を高めるか

昨日も練習をして、今日はハンガー・フリー・ワールドのカウントボランティアを予定しているので、後はまぁ本番に賭けるしかない状態になったのだが、今日は全然違う話。

ものづくり経済における「競争」というのは、言ってみれば「ベストプラクティス」の争いだろう。その場合の戦術というのは、他者の取り組みを分析し、真似して取り込み、改良し、その結果はなるべく隠す、という形で構築されている。

一方、知識経済あるいはサービス経済における「競争」というのは、「デファクトスタンダード」の争いだ。そこで必要になるのは、他者とは異なるオリジナリティを積極的に開示し、他者にその規格を受け入れさせる事で、確固たる立場を築くことだ。

日本は(日本企業は、ではなく日本社会は)、その競争環境へのシフトができてないのではないだろうか・・・ふと、そんなことを感じた。

Tweet from オルタナ編集長(@setsumori)
①日本のCSRレポートは環境寄り②企業の都合の良いことしか書いていない③第三者意見も都合の良い人ばかり--海外のCSR専門家が語った、日本企業のCSRレポートに対する印象。なるほどその通り。
2013年3月6日 17:37:40 webから
See More: http://twitter.com/setsumori/status/309221228059713536

引っかかったのは「海外のCSR専門家が語った」という部分(他にもあるが、それは別に取り上げる)。そういえば、「日本のCSR専門家」で、海外企業のレポートに対して同じようなアプローチをしている人というのはいるのだろうか。もちろん、現地のメディア関係者に「その通り」と取り上げてもらえるレベルでだ。

国際競争力、あるいは国力といった視点でみれば、研究者やコンサルタント、メディアといった日本の知識層がやらなければならないのは、「海外の事例を日本に取り入れる」事ではない。もちろん、プロセスの一つとしてそうしたステップは必要だろうが、本当にめざさなければいけないのは、「日本の事例を(デファクトスタンダードとして)海外に受け入れさせる」事ではないか。そういう視点で日本を分析し、発信された例というのは、CSRの分野にあるだろうか。

ちなみに「ナレッジマネジメント」はそうしたアプローチが行われた分野の一つだ。もっとも、「日本に受け入れさせるために」海外からの逆輸入を試みたような感じもあるので、日本という国の姿勢は変わっていないような気もするが。

少し前にNPO界隈では「世界を変える偉大なNPOの条件」という本が話題になったのだが、この話は厳密には「アメリカの社会を変えた」NPOの話である。原題(Forces for Good)には世界という言葉もない。

これを「世界」と訳して取り入れていこうとするナイーブさが、日本の知識層の限界なんじゃないだろうか、と感じてしまう。あれを読んで、では日本において社会を変えるNPOの条件は何か、と同じような調査をしようと考えた専門家はいるのだろうか(いると信じたいが)。

あの本の内容は、一見すれば「ベストプラクティスの提示」だが、めざしているのは「これがスタンダードだ」というロールモデルを示す事で、セクターの在り方を定義してしまうことだろう。そうすることで、さらに社会的影響力を高めるという競争戦略の一環だ。

そうしたベストプラクティスを「追いかけて」勝てる世界じゃないと思うんだがな。もちろん、勝ち馬に乗るのが目的であれば別かもしれないけれども。

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