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2015年3月 4日 (水)

マーケットインとプロダクトアウトのブランディング

昨日はちょっとした縁から、某化粧品のブランドマネージャーをしていた方の話を聞いてきた。ブランディングであり、マーケティングでもある話だったのだが、印象に残った事をメモしておく。

特に印象的だったのは、マーケットインとプロダクトアウトの話。
どちらが正解という事はないのだろうが、両者を対比させる表現が幾つか出てきた。

・「森を見て木を植える」か、「木を植えて森を作る」か
・「商品」と呼ぶか、「製品」と呼ぶか
・「商品を作るのに芸術品はいらない」

昨日の講演者の発想として徹底していたと思うのは、マーケッターとしていかに市場のニーズを見つけ、答えていくかというマーケットインの姿勢だ。明言はしていないが、話を聞いていると、自社の商品やブランドに対して、何らかの自分達なりのこだわりを持っているうちは、どんなにマーケットインを唱えていても、プロダクトアウトの発想から抜け切れていないのだという気になってくる。

それは彼がブランドマネージャーとなって立て直しを図った化粧品のブランドのコンセプト構築プロセスの話を聞くとよく分かる。そのブランドのアイデンティティとコンセプトは、メーカーとして「こうありたい」を社内から抽出したものではなく、お客様の「こうあって欲しい」を社外から抽出した形で構築されていた。そのカテゴリーにおける商品について、お客様の「こうあって欲しい」がどうやって生まれているかを把握し、そのトレンドから求められるブランド像を構築し、当てはめたという形だ。

そこにはメーカーとして「こうありたい」という発想は、ある意味微塵もない。実際にはあるのだろうが、それはお客様の求める姿がAかBかで二分したような時にどちらを選ぶかというような領域の話で、「自分達の考えるこのブランドの姿はこうである」という柱がまずあるのではなく、「お客様の求める商品に最も合致するブランド像はこうである」が基本となっているのは間違いない。

ある種ドラスティックな考え方だが、そうして再構築されたそのブランドは大成功している。

もっとも、マーケットインであるがゆえに今もそうであるかといえばそうではないような気もする。マーケットインのブランディングは、ファッションでいえばモードのようなもので、移りゆくトレンドを追いかける(あるいは作り出す)事で成り立っているので、常に変化が必要であり、それに伴う浮沈はあるものとして受け入れなくてはならないのだろう。そう考えると確固たるスタイルの確立とそれに対する支持者で成り立つトラディショナルの世界はやはりプロダクトアウトのブランディングであり、それはそれで一つの手法という事になる。

ようは自分達がどちらのスタイルに拠っているかを明確にして、それに沿った戦略を構築していく事が重要という事だ。難しいのは、隣の芝生は青く見えるというやつで、特にプロダクトアウト型の人間というのは、その発想を捨てきれない割には、マーケットイン型に憧れてしまったりするんだよなぁ。

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