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2016年5月19日 (木)

アンサンブルプレイヤー

先日のTオケの本番前に、こんな趣旨の話をパートメンバーにした。

皆さんは誰よりも皆さん自身が聴きたかった音楽を演奏するためにこの場にいる。
その音楽が完成された形で聴けるのは、今日この場で今からだけである。
だからパートの音や自分の音ばかり気にして聴くのではなく、まず自分自身がオケ全体の音を楽しもう。

そんな話だったと思う。

テクニカルな話をするなら、アンサンブルで重要なのは、自分の音が聴こえないぐらい全体に溶け込ませる事にある。ステージに上がった時によく言われる「自分の音しか聞こえない」状態というのはあまりよろしくなく、むしろ「自分の音が聴こえない」状態を作り上げていこうというのが話の根幹で、さらにいえば「自分の音が聴こえないからといって出しすぎたらうるさいから」という切実な状況でもあったのだが、再演の可能性は考えられていない1回きりの演奏会だったと考えれば、まず奏者こそ楽しめなければ意味がないというのも確かだ。そもそもそれがアマチュアの醍醐味でもある。

とはいえ、実際には我々奏者は、自らの楽器が奏でる音を聴いてモニターしながら演奏をしている。だから、本当に聞こえなくなると猛烈に不安になるのは否めない。特に個人練習を積み重ねて、その音のイメージが耳に染み付いている場合は、それが聴こえなくなるのはある種の恐怖だろう。一方で和声の中で練習を積み重ねていると、実際に自分が出している音ではない音がイメージとしてインプットされてしまい、1人で弾くとあれこんな音だったか、となってしまう事もある。個人的にはブルックナーなどはそんな状態で、1人で練習する(ほとんどないが)時と、合奏の中で音を出す時では、かなりイメージが違っている。

先日書いた、音を出す前に自分の出すべき音がイメージできていないというのは、案外その辺りにも関係があるのかもしれない。楽譜が指示するCの音を弾く時に、実際にイメージしているのは五度上のGの音の響きであったりする事があるような気がする。もちろんすべての音でという訳ではないが。

オーケストラのプレイヤーというのは、本来そういう状態を作り上げていく事を楽しんでいくものだと思いたい。我々はソロプレイヤーではなく、アンサンブルプレイヤーなのだから。

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